誰からも捜査依頼がないのに、新宿御苑の虫と植物の関係の捜査開始です。まずはエゴノキで、♂のウシズラ(牛面)が有名なエゴヒゲナガゾウムシを捜索します。
いました。下でエゴノキの実を食べているのが♀、上でそれを見守っているのが変顔の♂です。
♀はたぶんこれから実の中に産卵するのでしょう。エゴの種の中にいるエゴヒゲナガゾウムシの幼虫は、釣り餌になるチシャ虫です。まだ釣り餌として使ったことはないので、釣果は保証できません。エゴにはエゴツルクビオトシブミとエゴシギゾウムシもいますが、まだエゴシギはここで確認していません。
クワの木には、常連のキボシカミキリがいました。もっと大型のクワカミキリも、時々ここで見かけます。そしてイヌビワでも初めてキボシカミキリを見つけました。イヌビワはイチジクの仲間なので、キボシカミキリの植樹の1つらしいのですが、東京では圧倒的にクワかイチジクが人気で、イヌビワは非常食のようなものかもしれません。以前にキボシカミキリがカナムグラに群れているも見たことがあるので、かなり環境適応能力が高いカミキリと言えそうです。
マテバシイ(大砲ドングリ)の幼木に卵を産みに来たのはムラサキツバメというシジミチョウ。幼虫は葉を丸めた中にいて、たいていはアリの群れと一緒に暮らしています。アリに甘い汁を提供する代わりに、アリに身を守ってもらっているらしいのですが、はた目には単に意地悪なアリにいじめられているように見えます。
近い仲間のムラサキシジミは、アラカシが好きで、マテバシイにいる幼虫はたいていムラサキツバメです。
ツユクサに一番多いハムシは、地味なキバラルリクビボソハムシですが、時々形は同じでも色柄が違うのがいます。それは、アカクビボソハムシという別種。
今回御苑で見かけたアカクビボソハムシはツユクサの上で交尾していたので、オスメスともアカクビボソと分かりますが、違う場所でばらばらに見つけたら、種別判定に迷いますよね。だからこそ、虫と植物の関係の捜査が重要なのです。顔写真だけを頼りに犯人を捜したら捜査が難航するのは必至。犯人が立ち寄りそうな場所を張っている方が、効率がいいですよね。
しかし、今回の犯人は地味なやつらばかりでした。痴漢、コソ泥の類ですね。続編はもう少し、見栄えのいい犯人を追いかけたいと思います。