ドナルド・トランプ氏がついに米大統領の座を明け渡しましたが、それと相前後して野鳥界のトランプにやっと出会うことができました。野鳥界のトランプ、野鳥界のリーゼント頭の番長と言えば、レンジャクですね。
レンジャクにはヒ(緋)レンジャクとキ(黄)レンジャクがいるそうです。赤レンジャー、黄レンジャーじゃないですよ。まあ、ちょっとゴレンジャーっぽくなくもないですが。
今回のはヒレンジャクのようです。尾羽の先が赤いので。
実はちょっと以前から、冬にヤドリギを見つけると、もしかしてレンジャクがいるのではと気にしていたのです。以前、小野路でバードウォッチャーの方にレンジャクの穴場を教えていただいて、時々覗いていたのですが、今回見つけた場所は千葉市の公園でした。このあたりはケヤキらしき巨木が多く、その大半に緑のボールのようなヤドリギがまとわり付いています。
バスの時間が近づいた帰り道。ふと見上げた巨木にも緑のボールがたくさん。そう簡単にレンジャクに会えることはないだろうと思いつつ、緑のボールに視線をさまよわせていると、スズメより少し大きいぐらいの鳥が、ヤドリギの近くの枝の上に姿を見せたのです。「もしかして!」。虫用カメラのレンズを一気に望遠側に伸ばしてファインダーを覗くと。「オオ、あれこそは野鳥界のドナルド・トランプ」。
偉そうなリーゼント頭に尊大な顔つき。いかにも性格が悪そうに見えますが、スズメの仲間のおとなしい鳥のようです。ヤドリギの実が好物の冬鳥なので、ヤドリギの多いケヤキなどの大木を見上げていれば、結構見つける機会が多いのかも。
調べてみると、実を提供するヤドリギの側にも、メリットがあるようです。レンジャクの糞は粘液で長く糸を引くような形状なので、粘着テープのように木に絡みついて離れないらしいのです。糞の中に残ったヤドリギの種が、絡み付いた木の枝から芽を出して、勢力範囲を拡大していくという仕組みがあるようです。
レンジャクとヤドリギの持ちつ持たれつの関係。野鳥界のドナルド・トランプの姿からは想像もできない素晴らしい助け合いの世界ですね。人(鳥も)を見た目だけで判断してはいけないという好例です。