虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

貞操帯とシースルー。成人向けの話ではありません。ウスバシロチョウの話です。

 スプリングエフェメラルのウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)の季節は、そろそろ終わりですね。先週の高尾のウスバシロチョウはもう、ボロボロのばかりでしたが、若いころより、熟年になって魅力が増すこともあります。ウスバシロチョウの場合は、もともと鱗粉が少ないので、熟年になると羽がますますシースルーになってきて妖艶です。ステンドグラスのようにも見えますね。

 

 そしてもう一つ、発生後期になると、ほとんどの雌はお尻に大きな袋を付けるようになります。これは、雄と交尾した際に、雄に(無理やり?)付けられる交尾嚢(のう)というもので、不倫を防止する貞操帯のようなものらしいです。ギフチョウなんかも交尾嚢を付けるようですが、ウスバシロチョウのように目立つ貞操帯も珍しいでしょう。

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ウスバシロチョウ♀のお尻の先には貞操帯(左)。発生後期になると羽のシースルー感が増してくる(右)。

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雨上がりだったので、羽が濡れて飛べなくなっていたウスバシロチョウ

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飛べないのをいいことに、失礼してお尻の先を見ると、やっぱり交尾嚢がありました。中空になっているけど、これで貞操帯として役に立つのか疑問。

 ほかの虫の夫婦関係は定かではありませんが、交尾嚢の付ける蝶は、基本的に一夫一婦制で、浮気はなく、しかも交尾は一生に一回だけということですね。清く正しくて良い行いですが、人間に置き換えて考えると、少し残念、少し悲しい気もしますね(一般論です。個人的感想ではありません)。

 

 何年か前に自分が書いた記事を見ると、交尾嚢のことを、もう少し上品に「結婚指輪」なんて言い方をしてました。人間、品の良さが大切ですね。

 

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