豪キュランダの宿泊施設、レインフォレスト・アコモデーション・パークでのライトトラップで、一番心ときめいた虫は、カブトでもクワガタでもカミキリでもなく、小さなカマキリでした。
その名はネット・ウィングド・マンディス。学名はneomantice australis。オーストラリアの名を冠しているので、カマキリ美人コンテストの豪州代表と言えるでしょう。この夜は2匹がやってきてくれました。
楕円形の薄い羽に水玉模様を散らした姿はまるで妖精のようです。近づくと、これまた妖精のように、軽やかに宙を舞います。昆虫趣味の下界のおかしな人間をからかうかのようです。豪快なカブト、クワガタを狙う人々から見ると、あまりに少女趣味でどうでもいい虫でしょうが、可愛い物はやっぱり可愛い。
少女趣味ついでに、アクセサリーにしたいような水玉柄のハナムグリも紹介します。オーストラリアでは、バイオリンを背負ったような模様のフィドラー(バイオリン弾き)ビートルと呼ばれるカザリハナムグリの仲間が有名。次回は是非、バイオリン弾きにも出会いたいものです。
そんな、愛らしいニンフのような小さな虫たちをよそ目に、どす黒いヒメカブトたちは、貪欲に交尾をしていました。雰囲気をぶち壊すやつらですね。手のひらに載せ、カメラを正面に構えてもなお、交尾をやめる気配をみじんも見せません。その堂々たる態度は、ある意味尊敬と羨望に値すると言えるでしょう。