怪物バニップの隠れ家から解放された昆虫記者は、豪キュランダの宿レインフォレスト・アコモデーション・パークに戻ってきました。既に夜は更けて、あたりは真っ暗。しかし、虫記者の帰りを待つロッジの前だけは、まるで昼間のように煌々と明かりが灯っています。そうなんです。留守の間も、ロッジに仕掛けておいたライトトラップが、せっせと虫を集めてくれていたのです。無駄がないですね。
まずは定番のクリスマス・ビートル。サンタの贈り物のようなめでたい名前の虫です。オーストラリアのクリスマスは夏ですから、野外のクリスマスツリーの電飾には、虫がいっぱい飛んできます。特にクリスマス前後の時期に大量発生するクリスマス・ビートルは、ツリーを飾るのにもってこい。クリスマスのお祝いと、虫撮りを同時に楽しめるなんて、夢のようです。なんて考えるのは虫好きだけですが。
しかし、めでたいのは名前だけ。クリスマス・ビートルは、日本のドウガネブイブイに近い仲間です。オーストラリアの人々にとっては、厄介な雑虫というところでしょう。正しくは豪州キンイロコガネの仲間に分類される虫ですが、金色のとかツートンカラーのとか、特別美しいのは希少なようで、たいはんはこの緑系。よくよく見れば、なーんだ、日本のアオドウガネにそっくりじゃん、てなことになります。
こちらはドウガネよりも、日本のコガネムシに近い仲間のようです。
カミキリムシも大中小と、いろいろなのがやってきます。これは日本のシロスジカミキリぐらいのでかいやつ。アジアの熱帯でもよく見かけるカミキリですね。
これは中型のカミキリ。恐ろし気な牙を持ったやつでした。
こんなスタイルのいいカミキリもいます。贅肉のかけらもない姿。うらやましいですね。
そんな中で一番の注目株は、このフェザーホーンド(羽毛の角を持つ)カミキリです。立派なヒゲ(触覚)ですね。こういうのをゲジゲジ眉毛みたいで気持ち悪いと思うか、類いまれなる自然の造形美と思うかは、虫好きと虫嫌いとの間で、意見の分かれるところです。
何の仲間かはっきりしませんが、こちらもなかなか立派なヒゲの持ち主でした。