虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

闇に生きる虫、ユーカリハムシ

 ユーカリの木にはユーカリハムシ。コアラと一緒にちゃっかり日本に住み着いたハムシですね。
 夜行性と言われますが、成虫は昼間も結構活発で、巷で言われているほど、暗い性格ではないと思ってました。

 しかし、本当に性格が暗いのは、幼虫だったのです。

 5月半ばのユーカリ林。ユーカリのひこばえの葉のアロマを楽しんでいるはずのユーカリハムシの姿が見当たりません。何か変だなと思いながら、大木の幹を眺めていると、あちこちに体育座りというか、トイレで用を足しているような姿勢のユーカリハムシが。
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 非常に怪しい行動ですね。こっそり用を足すほど行儀がいい虫とも思えません。もしかして産卵?
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 そうです。ユーカリハムシはユーカリの樹皮の深い割れ目に卵を産むのです。餌になる葉っぱに産めばいいものを、どうしてこんな暗がりに産卵するのでしょう。性格の暗さの一端を示していますね。

 産卵中に失礼して、樹皮を少し持ち上げてみました。ユーカリハムシのお尻がばっちり見えます。
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 でも見たいのはお尻ではありません。そのうち産卵管がお尻から伸びてきてその先から卵が、ニュルっと出てきました、
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 すると、産み付けられた卵が格納されている樹皮の隙間から、気味悪いやつが現れました。画面左下に顔が見えますでしょうか。これが成虫よりさらに暗い性格の幼虫です。
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 卵のサイズよりはるかに大きいですから、孵化したてというわけではありません。つまり、幼虫は昼間はこの薄暗い樹皮の裂け目の中に隠れていて、夜になると外に出てユーカリの葉を食べるのです。成虫はいっぱいいるのに、昼間に幼虫が見つからないのはなぜなのか。疑問はこれで氷解しました。
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 自宅で飼っているユーカリハムシの幼虫も昼間は物陰に隠れていて、夜になると葉っぱを食べています。
 
 孵化したばかりの幼虫です。
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 すこし大きくなりました。やはり闇に生きる虫。人目を忍ぶグロテスクな姿ですね。
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