虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

富豪マリーナで地味なハムシを撮る貧乏人

 ヨットやクルーザーが無数に浮かぶ夢の島マリーナ。素敵ですね。どんなお金持ちがオーナーなんだろうかと、想像してしまいます。うらやましいですね。そして、悲しいですね。貧富の差をひしひしと感じます。

 羨んでばかりいても仕方がないので、地味にハムシなど探します。夢の島ユーカリの森です。まるで、オーストラリアにいるような気分になります。でも日本なので、コアラはいません。

 しかし、オーストラリアから入ってきた虫、ユーカリハムシがいるのです。コアラはさすがにユーカリに紛れ込んで密入国できないでしょうが、小さなハムシは簡単に、餌のユーカリに紛れて密入国できるのです。

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後ろ足だけで立ち上がった変な姿勢のユーカリハムシ。実は樹皮裏に産卵中です。

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すぐ近くには、ヨット、クルーザーが並ぶ夢の島マリーナ

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ユーカリハムシは長い産卵管を樹皮の下に伸ばして、卵を産み付けます。

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近くのマリーンセンターではクルーズ仲間でバーベキューが楽しめるようです。昆虫記者は縁がないです。


 地球の反対側にいたハムシなので、性格も日本のハムシとは対照的で、夜行性のようです。しかも、ハムシらしく葉に卵を産むのではなくて、ユーカリのはがれかけた樹皮の裏側に産卵します。

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樹皮裏に産み付けられたユーカリハムシの卵をちょっと拝見

 

 幼虫は完全に夜行性で、昼間は樹皮裏などに隠れていて、夜にこっそりと葉を食べに出てくるようです。

 

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以前に撮影した幼虫の写真。昼間は樹皮裏に隠れているので、葉の上を探しても見つかりません。

 こんな変な性格のハムシ、恐らく日本にはいないと思います。有袋類とか、カモノハシとか、変な生き物の多いオーストラリアらしいですね。

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熱帯植物館もありますが、有料施設なので入りません。

 

 あとは日本のハムシ。ネズミモチの木があれば、たいていどこにでもいるクロボシトビハムシです。

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小さなクロボシトビハムシ。手前にある白い点のようなのが、恐らく食痕。

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「えっ、見たことない」。当然です。なにせ、体長2ミリぐらいの小さなハムシですから、誰も気づきません。でもたいてい、どのネズミモチにもいます。葉に針で突いたような小さな穴がたくさん開いていたら、それがクロボシトビハムシの犯行の跡です。

 

 エノキハムシはまだ幼虫でした。

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エノキがあるところ必ずいるエノキハムシの幼虫

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エノキハムシ幼虫が発生すると、エノキの葉はこんな丸い穴だらけになります。

 エノキの葉が穴だらけになっているのは、たいていこの幼虫のせいですね。今頃はもう姿を消しているので、犯人を捜しても無駄です。でも、もうすぐ成虫が出てくるので、逮捕するのはそれからにしましょう。