虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

日本三大テントウ虫の一角を占めるハラグロオオテントウ

 日本三大などと言うと、雄大な光景が目に浮かびますね。例えば三大河川と言えば、信濃川利根川石狩川です。ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。悠久の時の流れを感じます。
 しかし、とっても小さな三大もあります。日本三大テントウ虫と言えば、
カメノコテントウ、オオテントウ、ハラグロオオテントウです。「言わずと知れた」と言いたいところですが、あまり有名ではないですね。
 この中で、カメノコテントウは毎年どこかで出会うお馴染みさんです。そして、今年になってようやく、ハラグロオオテントウにばったり出会いました。

 「そうか、ここにいたのか」。それはクワキジラミの幼虫がびっしりと張り付いて、気味悪い白い糸が絡み付いたクワの木でした。
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 こんなクワの葉は見るのも嫌ですね。病原菌の顕微鏡写真のようで、触ったら不治の病に侵されそうです。

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 でも一匹、一匹のクワキジラミの幼虫は、まさに芸術作品。羽衣の長い裾を風になびかせる天女のようです。

 そして、この天女を片っ端からむさぼり食うのがハラグロオオテントウ。クワキジラミを探せば、ハラグロオオテントウが見つかる。こんな簡単なことに今まで気づかなかったのでした。
 実は今回見つけたハラグロオオテントウは成虫ではなくて、幼虫でしたが。
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 ハラグロの幼虫を持ち帰って困ったのは餌。

 都会のクワにはあまりクワキジラミが付いていないんです。そこで、見た目がよく似たエノキワタアブラムシを与えてみると、バクバクと食べるではありませんか。立派な代用食になるので、皆様も是非お試しください。まあ、だれも試したりしないでしょうが。
 
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 エノキワタアブラムシを食べて育った幼虫は、間もなく蛹になり
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 そして念願の成虫となりました。
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 ベランダのエノキに放してやると、エノキワタアブラムシをセッセと駆除してくれます。なかなかの働き者です。
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 ハラグロという名ですが、腹はそれほど真っ黒というわけではありません。益虫ですから、腹黒なんて呼ばれたくはないでしょう。
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 いい機会なので、ほかの三大テントウ虫も紹介しておきます。中央にいるのが、お馴染みのカメノコテントウ。まわりにいるナミテントウと比べると確かに大きい。テントウムシの界の進撃の巨人です。
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 小さなナミテントウに恋をして襲いかかることもあります。
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 オオテントウは分布が限られているらしく、日本ではまだ見たことがありません。これはベトナムの竹林の下草で見つけたものです。ホウライチクという竹に付くアブラムシを食べるらしいです。
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