GO TOトラベルの影響もあって、この3連休は各地の観光地が芋の子を洗う3密のすごい人出になってますね。新型コロナの感染者が急増していて、また緊急事態宣言とか、完全テレワークとかなるのは嫌ですよね。しかし観光地だからすべて大混雑というわけではありません。地磁気 逆転の地層で世界的に有名になったチバニアン は、静かで、落ち着いた観光地でした。
蝶の蛹と養老川の緩やかな流れ
養老川のゆったりした流れと、蝶の蛹。昆虫記者ならではの、全くちぐはぐな組み合わせですね。羽化間近の羽の模様で何の蝶か分かったら、あなたももう、こちら側の世界の人間です。普通の世界には戻れません。
チバニアン には車で行くのが便利ですが、小湊鉄道 の月崎駅 から、ひなびた田舎道の雰囲気をのんびりと味わいながら行くのもいいものです。
こんな田舎の駅(月崎)から出発
ひなびた田舎道をテクテクと30分ほどの行程です
途中、こんな光景も。オオッ、今時菜の花畑が!などと血迷ってはいけません。セイタカアワダチソウ です。
小湊鉄道 の車窓から見えたのも、菜の花ではなくセイタカアワダチソウ
あのきれいな黄色い花は何?、菜の花かしら?、と言っている観光客もいました
ようやくチバニアン ビジターセンターの駐車場に到着。アユの塩焼き、ソフトクリームなども売られています。
ビジターセンター。勉強熱心な人はここでパンフをもらうのがいいようです。
駐車場奥、ビジターセンターの後ろからの、ユウガオ畑の上のこの道が近道
ユウガオ(カンピョウ の原料)の実がたくさん転がっていました
途中にもチバニアン の説明があるので、勉強熱心な人は読みましょう
そしてチバニアン 到着。車で来ると駐車場からあっという間の到着なので、時間を持て余しそう。車の無い昆虫記者のような貧乏人の旅の方が、全行程を半日ほど楽しめてお勧めです。ボランティアのオジサン(下の写真の右端)が代わる代わるやってきて無料で解説してくれるので、オジサンがいない時は、ちょっと待ってみましょう。ただし平日はいないかも。
チバニアン 地層の説明に熱心に聞き入る人々。偉いですね。昆虫記者は傍観です。
77万年前、最後の地磁気 逆転が起きた時期の地層の位置が、火山灰の狭い層のお陰で誰にでも簡単に分かるというところが、チバニアン 時代という千葉を世界に知らしめる時代名称が採用された大きな理由のようです。ほーら、昆虫記者もちゃんと勉強しているのです。今また突然地磁気 が逆転すると、航空機がまともに飛べなくなったり、とんでもないことが起きるそうです。なんかワクワクしてしまうのは変でしょうか。
左の倒れた木のあたりから右に伸びる黒い線(所々緑の苔が生えている)が77万年前という時代を決定付ける白尾火山灰層です。昆虫記者って結構勉強熱心なんだなーと感心して下さい
川底が柔らかい石でできていて平らなので、化石が露出しているところも多いです。大抵の人はチバニアン 地層だけ見て帰ってしまいますが、それではもったいない。77万年前、ここが水深500メートル以上の海の底だった時の化石ですよ!。三葉虫 みたいなカッコイイ化石ではありませんが、少しは感動しましょう。
浅い川底にはたくさんの貝類の化石が
サザエみたいな巻貝の化石らしいです。
海底で生活していた生物の巣穴や移動の跡を示す生痕化石という、さらに地味な化石もあります。うーん、これで感動しろと言われても、ちょっと難しいかも。
これが生痕化石。うーん、相当に地味だ
川の浅瀬に入るためには、こんな雨除け靴カバーを持っていくといいかも。昆虫記者は雨の日のジャングルのために、これを常備しています。
雨除け靴カバーがあると運動靴でも川に入れる。何と準備の良いことよ
オオーッ!アンモナイト の化石が!なーんて真っ赤な嘘です。近くにあったアオツヅラフジの実から取り出した種です。この種はアンモナイト に似ていることで有名ですよね。
アンモナイト の化石が!というのは嘘。アオツヅラフジの種です。
アオツヅラフジの実。秋の野山にたくさんあります。
川の中には魚の姿も。アユ!と思ったら大間違い。今時アユはいません。どこにでもいるオイカ ワ(ヤマベ)ですね。昆虫記者はかつては釣りも趣味だったので、魚の知識も多少あります。何て偉いんだ!
ゆったりとした川の流れの中には魚の姿も
橋の上から眺めると、たくさんの魚が確認できます
この長い尻びれはオイカ ワですね。
オッと忘れてました。甌穴(ポットホール )です。川底が柔らかいので、窪みに入り込んだ石などが長い間回転してこんな丸い穴ができると、昔科学番組で見たような。
大小さまざまな甌穴が川岸や浅い川底に見られるのが、養老川の特徴の1つ
そして虫です。冒頭の写真で登場した蛹は、カラムシの葉で作られた広い蛹室の中にあるアカタテハ の蛹です。近くにたくさんありました。この時期、さすがにもう幼虫はいなくて、全部蛹でした。
カラムシの葉で作られたアカタテハ の蛹室
蛹室の扉を開けると中に蛹があります
羽化の時期が近づいている蛹も
成虫のアカタテハ もたくさん飛んでいました。成虫越冬なので真冬でも暖かい日には日向ぼっこする姿が見られます
羽化直後のきれいなアカタテハ はこんな感じ
成虫越冬するテングチョウの姿も見られました
コミスジ は幼虫越冬なので、これは成虫の最後の雄姿。
鳥系の方々にも配慮して、最後は農家の庭先でのモズの高鳴きです。キチキチバッタの音を100倍にしたような、キチ、キチ、キチ、キチと鳴き続ける声は本当にうるささい。
キチキチキチとうるさいモズの高鳴き
こんなつたない記事を読んで、チバニアン にいってみようと思った人がいれば嬉しいです。月崎から歩きがお勧めと書きましたが、電車の本数が非常に少ないので、本当は裕福な方々にとっては車がお勧めです。