虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

拙著「昆虫記者」の紹介と石垣島紀行②ナナホシキンカメ編

拙著「昆虫記者のなるほど探訪」の第2章、第2話は、ベストセラー「バカの壁」でも知られる知の巨人、養老孟司氏です。冒頭部分をちょっとだけ紹介します。

◎昆虫記者、「知の巨人」に挑む
養老孟司氏の本業は昆虫採集

普段は好き勝手に記事を書いている昆虫記者も、たまには上層部の厳しい注文に応じなければならない。「夏休みシーズンは大物がほしいね」と幹部。「カブトですか、それともクワガタ?」と昆虫記者。「大物とのインタビューだよ。例えば養老先生とか」と幹部。
一瞬絶句した。養老孟司氏と言えば、大ベストセラー「バカの壁」の著者で、解剖学、脳科学などの膨大な知識を持つ「知の巨人」。しかも「本業は虫採り」と言い放つ究極の虫好きだ。何の理論武装もないただの「自称昆虫記者」が正攻法で立ち向かえる相手ではない。
そして数週間後、インタビューの日は容赦なくやってきた。神奈川県箱根町仙石原にある養老氏の別邸、通称「養老昆虫館」でインターホンのボタンを押す記者の手は震えていた。
自らドアを開け、表に出てきた養老氏は、私とカメラマンを招き入れると、いきなり「で、今日はどうすればいいの」。
ここは、ひきょう者と呼ばれても、裏技を使うしかない。前週の箱根極秘偵察で必死に探し出した美麗種「オオルリハムシ」の写真を、「どうだ!」とばかりに、養老氏の眼前に突きつけた。養老氏が数年前に箱根でこの虫を探して、見つけられなかったという話を聞いていたからである……

写真は養老昆虫館内部とオオルリハムシ
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取材を終えて
養老孟司氏の虫好きは有名です。しかし、養老氏の観察眼の鋭さ、知識の深さは、単なる虫好きの私とは雲泥の差があって、心臓がバクバク。しかも、インタビューの場になった養老昆虫館の2階まで吹き抜けになった標本室は、初めてここを訪れた者を威圧します。(庭にあるユーモラスな「バカの壁」は見る者をなごませますが)。
・箱根土産にハコネアシナガコガネ
でも、虫の話を始めると場の雰囲気は一転。養老氏の目は優しく、小市民の私を萎縮させまいとする心の広さを感じました。やはり巨人と小者は違いますね。「近くに昆虫採集の絶好ポイントはありますか」などといった、子供じみた質問にも、わざわざパソコンで地図を示して丁寧に対応してもらい、恐縮至極。ハコネアシナガコガネの居場所を教えてもらって、箱根土産の写真をどっさり撮ることができ、養老氏への憧れ、箱根への愛着をさらに強める取材になりました。
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「昆虫記者」は時事通信出版局のページから購入できます
http://book.jiji.com/books/publish/p/v/705

石垣島紀行その2
 今回は、石垣名物?ナナホシキンカメです。こんなに綺麗なカメムシなのに、チャバネアオカメムシとか地味で普通の連中をはるかにしのぐ圧倒的な生息数を誇っていました。
オオバギの葉で♀が待っていると
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       ♂が背後から忍び寄ってきました。
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触角で触れ合って愛を確かめます。♂は時々逆立ちのようなポーズで気をひいていました。
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 林道で10匹ほどを確認して、宿のロッジに戻ってみると、食堂のベランダに3匹もナナホシキンカメが。必死で探し回った青い鳥は、実は身近なところにいたというストーリーに似ていますが、ちょっと拍子抜けでした。島の人にとっては、チャバネアオカメムシと変わりない存在なのかもしれません。