「蝶なら何が一番好き」と聞かれて、国蝶オオムラサキとか、春の女神ギフチョウとか、何百キロもの渡りで名高いアサギマダラとか、あまりにポピュラーな蝶の名を挙げるのは、シニアになると、ちょっと気恥ずかしいものです。そんな時には、「スミナガシ」と答えましょう。
黒をベースに、墨流し技法で描いたような繊細な柄がちりばめられ、光線の具合で青緑色の渋い輝きを放つスミナガシ。名前も姿も風流で、粋な蝶です。
先日裏高尾で出会ったスミナガシ。樹上でテリを張る姿です。
下に降りてくる場合は、腐った果実や獣糞が目当ての場合も多いので、撮影の際には、ハエなど邪魔者が写り込まないよう注意しましょう。
開翅。やっぱり見事。久々に虫ミシュランガイド3つ星★★★です。
真っ赤な口許もチャーミングです。
ただ、若い娘がいる場では、「スミナガシが最高だね」などと言うと、「ジジ臭い」と思われる恐れがあるので、そんな場合は、可憐な普通種のツマキチョウとか、ベニシジミとかの名を挙げるのが賢明と思われます。