キナバタンガンでの2日目の朝。まだ薄暗い早朝にたたき起こされて、朝食前のアニマルウォッチング・クルーズに駆り出されます。「眠い」とか、「しんどい」とか言ってられません。アニマルウォッチャーへの道は厳しいです。
こんなハードスケジュールの中でも、一瞬の隙を突いて虫撮りです。これまで何度も撮影に失敗してきた、あの俊敏なトラフタテハ。
しかし、ボルネオ・ネーチャー・ロッジのトラフタテハは、コソコソ逃げ回ったりせず、堂々とカメラの前に立ちはだかります。
ここの客はみな動物ばかり追い回していて、蝶なんぞには一瞥もくれないので、トラフタテハも安心し切っているのでしょう。
ボートに乗ると、ロッジのすぐ対岸には早起きのテングザルたち。
そして、The early bird catches the worm(早起きは三文の得)を実践している鳥たち。蛇が好物でスネーク・イーターと呼ばれているカンムリワシ、魚が好物でフィッシュ・イーグルと呼ばれているミサゴ(オスプレイ)などの猛禽類が、偉そうにボートの中の人々を睥睨しています。
さらに、水面に長い首を出すとヘビのように見えるというアジアヘビウ、熱帯に来たと実感させてくれるサイチョウ(キタカササギサイチョウ)の群れ。
そしてついに、真打ち登場。ボルネオと言えば、オランウータンですね。高い樹上で逆光なので、まっ黒な毛のかたまりにしか見えないのですが、カメラの露出を上げると、やさしい表情が。
オランウータンを見上げる人々。ここでも、西洋人女性が圧倒的パワーを見せつけます。オランウータンになって、こんな人々を上から観察するのも楽しいでしょうね。
拙著「昆虫記者のなるほど探訪」でも、アジアの虫撮りの穴場をたくさん紹介してます。海外旅行の際には、是非異国の虫に注目を。グローバル化で人間界の異国情緒は乏しくなっていますが、虫の世界はまだまだ異国情緒たっぷりです。