キュランダ高原列車フレッシュウォーター駅前には灯火に誘われてきたと思われる白っぽいコガネムシの仲間。グレーバック・ケインビートルと言います。サトウキビの大害虫だそうです。
ケインはシュガーケイン(サトウキビ)のケインですね。こいつを駆除するために、米大陸からわざわざケイントードというヒキガエルを呼び寄せたのですが、このカエルが役立たずだった上に、大繁殖して侵略的外来生物としてとっても迷惑な存在になっているらしいです。夜になると分かるのですが、このヒキガエルはともかく、至る所に出現する邪魔者です。
駅の周囲は広大なサトウキビ畑。
オーストラリアは日本向け砂糖ではタイと並ぶ2大輸出国です。そのほとんどがクイーンズランド州で生産されているので、このあたりの砂糖の大害虫は、日本人が食べる砂糖の大害虫ということにもなります。憎きグレーバック・ケインビートル。この後、至る所で出会うことになりますが、最初はそんな悪者とは気づきませんでした。
サトウキビ畑の中にいたスイートな雰囲気のゴキブリです。甘い砂糖にゴキブリが吸い寄せられても何の不思議もありません。
あとはカメノコハムシの仲間とか、普通の地味なハムシとか、さらに地味なセミとか。
ふと駅を見ると、既に観光客であふれかえっています。慌てて引き返すと、間もなく列車が到着。虫撮りと撮り鉄の掛け持ちは、息が切れて大変です。
ハーハー、ゼーゼー言いながら、列車を撮ります。
車内はかなりすいています。これなら予約不要ですね。
サトウキビ畑を抜けると、
ほどなく、ホースシューベンドです。これは180度のヘアピンカーブのことですが、ここのホースシュー(馬蹄)は特別です。
曲線半径100メートルの巨大な弧を描く列車。すると突然、鉄道マニアの日本人乗客の頭の中では「世界の車窓から」のオープニングテーマが流れます。そうなんです。これこそが、驚異的な長寿番組として知られる「世界の車窓から」のかつてのオープニングシーン。10年の長きにわたり、鉄道ファンの憧れとなってきたシーンなのです。日本の鉄道ファンのみが知り得る特別な景色です。
ところがなんと、列車に乗っている西洋人もアジア人も、大人も、子供もみな、窓からカメラを突き出しているではありませんか。列車の親切な案内が、「間もなく絶景スポットです。カメラの用意を」などと、余計な説明をするからです。日本の鉄道ファンにはそんな説明は不要なのです。
その一方で「体のどの部分も窓から出してはいけません」と、矛盾するように思える警告アナウンスも流れます。まさか、とんでもない部分を突き出す露出狂はいないでしょうが、「体の部分って、いったいどこなんだ」って、ちょっと気になりますね。
安全確保のため、金属のバーが窓にはめ込んであるので、さすがに顔を出すのは不可能だろうと思ったのですが、強引に顔を突き出しているすごいやつもいました。
途中、木の枝が窓枠をこすりそうな場所もあるので、顔を出すのは相当に危険です。良い子の皆さんは絶対に真似をしないでください。