虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

シンガポールの沿線昆虫ガイド⑯パシリスの休日のお供は蛇とカブトガニとサイチョウ

 シンガポールの海辺と言えば、セントーサかイースト・コースト・パークと答えるのは、素人と言うか、まっとうな常識人ですね。昆虫記者のお勧めは、チャンギ空港の北西のパシリス・ビーチです。でもカリフォルニアのビーチのような素敵な雰囲気を期待して行くと、「騙された」と嘆くことになります。おしゃれな店もないし、海の水もエメラルドブルーとはとても言えません。それどころかビキニ姿のピチピチギャルなんて1人もいません。

 でもここには、先進都市国家シンガポールとは思えない自然が残されているのです。駅近のお手軽旅なのに、南国のマングローブの森に囲まれた秘密の海辺の雰囲気が味わえるのです。

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こんなカブトガニとかいるはずです。

 

 それではマングローブ林に入ってみましょう。

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パシリスのマングローブ林の中の散策路

 素敵な散策路ですね。この先には入江が広がっていて、水辺の生物がどっさり見られるはずなのです。

 

 ところが、何と、ガガーンな展開。

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マングローブ林の散策路は、ここからが見どころという地点で閉鎖です。

 またしても工事中で閉鎖です。先日のバタフライ・トレイル@オーチャードでも、一番の蝶の名所が巨大工事の真っ最中で立ち入り禁止になっていたので、連日のガガーンな展開です。

 

 しかし落ち込んでばかりいても明るい未来は開けないので、周囲を丹念に見回すと、かわいい蛇がいました。

 

 パラダイススネークという楽しそうな名前の蛇です。あとで調べて分かったのですが、このヘビはたぶん、パラダイストビヘビとも呼ばれていて、肋骨を広げて体を扁平にして、ムササビのように空を滑空することができるのです。

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空飛ぶ蛇、パラダイススネーク。飛ぶところを見たかった。

 うーん、飛ぶところを見てみたかった。しかし、ほとんど人に害はないとはいえ、一応毒蛇のようなので、つかまえて飛ばせてみるなんてことはしない方がいいでしょう。

 

 さらに、水中でじっとしているヘビを見つけました。ドッグフェースド・ウォータースネークというミズヘビの仲間です。汽水域に棲んでいて海を渡ることもあると言います。ウミヘビと陸上の蛇の中間みたいなやつです。

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水中でじっとしているミズヘビ。

 トビハゼも何匹かいました。こいつらがミズヘビの餌食になるのでしょう。

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トビハゼ

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 海辺に出ました。岸辺までマングローブ林が張り出していて、ネーチャー感があふれています。

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マングローブに囲まれたパシリスビーチ

 たまに地元の家族連れが遊びにきています。

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 そして波打ち際にカブトガニの姿。

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いました、カブトガニ

 でも残念、ひっくり返してみたら、最近お亡くなりになっていたようです。

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 海岸にはマングローブの実がたくさん流れ着いています。木の上から落ちると、泥に突き刺さって、そこから新しいマングローブが芽生えると言われているあの実ですね。

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マングローブの実は本当に地面に突き刺さるのか

 試しに上から落としてみました。すると、ブッスリ。

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浜辺に突き刺さった(ように見える)マングローブの実

 なんてうまくいくはずはありません。そんな簡単に砂浜に突き刺さるわけはありませんね。無理やり突き刺したやらせ写真です。