シンガポールの海辺と言えば、セントーサかイースト・コースト・パークと答えるのは、素人と言うか、まっとうな常識人ですね。昆虫記者のお勧めは、チャンギ空港の北西のパシリス・ビーチです。でもカリフォルニアのビーチのような素敵な雰囲気を期待して行くと、「騙された」と嘆くことになります。おしゃれな店もないし、海の水もエメラルドブルーとはとても言えません。それどころかビキニ姿のピチピチギャルなんて1人もいません。
でもここには、先進都市国家シンガポールとは思えない自然が残されているのです。駅近のお手軽旅なのに、南国のマングローブの森に囲まれた秘密の海辺の雰囲気が味わえるのです。
それではマングローブ林に入ってみましょう。
素敵な散策路ですね。この先には入江が広がっていて、水辺の生物がどっさり見られるはずなのです。
ところが、何と、ガガーンな展開。
またしても工事中で閉鎖です。先日のバタフライ・トレイル@オーチャードでも、一番の蝶の名所が巨大工事の真っ最中で立ち入り禁止になっていたので、連日のガガーンな展開です。
しかし落ち込んでばかりいても明るい未来は開けないので、周囲を丹念に見回すと、かわいい蛇がいました。
パラダイススネークという楽しそうな名前の蛇です。あとで調べて分かったのですが、このヘビはたぶん、パラダイストビヘビとも呼ばれていて、肋骨を広げて体を扁平にして、ムササビのように空を滑空することができるのです。
うーん、飛ぶところを見てみたかった。しかし、ほとんど人に害はないとはいえ、一応毒蛇のようなので、つかまえて飛ばせてみるなんてことはしない方がいいでしょう。
さらに、水中でじっとしているヘビを見つけました。ドッグフェースド・ウォータースネークというミズヘビの仲間です。汽水域に棲んでいて海を渡ることもあると言います。ウミヘビと陸上の蛇の中間みたいなやつです。
トビハゼも何匹かいました。こいつらがミズヘビの餌食になるのでしょう。
海辺に出ました。岸辺までマングローブ林が張り出していて、ネーチャー感があふれています。
たまに地元の家族連れが遊びにきています。
そして波打ち際にカブトガニの姿。
でも残念、ひっくり返してみたら、最近お亡くなりになっていたようです。
海岸にはマングローブの実がたくさん流れ着いています。木の上から落ちると、泥に突き刺さって、そこから新しいマングローブが芽生えると言われているあの実ですね。
試しに上から落としてみました。すると、ブッスリ。
なんてうまくいくはずはありません。そんな簡単に砂浜に突き刺さるわけはありませんね。無理やり突き刺したやらせ写真です。