久々に海外旅行…なんて行けるわけない。シンガポール虫旅…なんで行けるわけない。でも、たまには新型コロナウイルスなんて忘れて、夢気分に浸りたーい。ということで、今回は久々にシンガポール昆虫ガイドが復活。世界初の空港内バタフライガーデン(蝶園)にご案内です。コロナ禍が過ぎ去って、シンガポールを訪れる機会があったら、絶対行くべき穴場です。
シンガポールは先進都市国家なので、旅行に行ってもショッピングとグルメ、あとせいぜいセントーサのビーチとユニバーサルスタジオとマーライオンぐらいでおしまいになってしまいがちですが、南国なので可憐な蝶もたくさんいるのです。
でも、昆虫記者のような変人でない限り、シンガポールの街中で蝶を探したりしないですよね。そこで旅の最後に一気にシンガポールの蝶を満喫してしまうというお得な施設(なんと無料、無料なんですよー)がこのチャンギ国際空港第3ターミナル出発ロビーのバタフライガーデンです。(他のターミナルからもスカイトレインを使って行くことができます)
シンガポール航空の日本行きは第3ターミナル出発なので、帰りに免税店で土産を買う時間をちょっとだけ節約すれば、無料(ここ強調)で、天国のような蝶の舞い飛ぶ世界を堪能できるのです。
とか何とか、前触れが長くて、売り込みがしつこいのは、インチキ臭いと思われがちなので、そろそろ蝶の本格紹介に入りましょう。
まずは何と言ってもハレギチョウですね。これが群れ飛ぶと、まさに南国気分。
ハレギチョウの仲間の中でも特に色彩が鮮やかなのは、マレーレースウィング。レースウィングというのは、羽の周囲にあるギザギザ模様の縁取りがレース飾りのようだから、だったと思います。
ハレギチョウは羽の裏側が特にきれいですが、羽の表は♂の場合は結構普通の感じです。でも♀の中には、白黒中心のシックな色合いながら、繊細な柄のがいて、別の種類の蝶かと思ってしまいます。
さらに注目はシンガポールの国蝶、ベニモンアゲハです。国蝶を見ずにシンガポールを去るわけにはいかないですから。
でもここで厄介な問題が。なんとこの国蝶ベニモンアゲハに擬態している偽国蝶がいるのです。
それはシロオビアゲハ。♂はその名の通り白い帯が入っただけの地味な黒系アゲハですが、♀はちょっと見ではベニモンアゲハそっくりなのです。
羽を閉じたときに赤い胴体が見えればベニモンアゲハ、黒い胴体なら偽物の方です。せっかく国蝶を撮ったと思ったのに、実は偽物でガッカリなんてことにならないよう注意しましょう。
ちなみにシロオビアゲハの普通の姿(♂とシロオビ柄の♀)はこんな姿です。
またまたちなみに、シロオビアゲハはクロアゲハの仲間なので、ミカンなど柑橘類に産卵しますが、ベニモンアゲハはジャコウアゲハの仲間なので、ウマノスズクサ系の草に産卵します。
このほかにも、まだまだたくさんの種類の蝶がいるので、それは次回に紹介します。なにせ、当分海外旅行には行けないので、お楽しみはちょっとずつ味わっていかないといけません。蛹の展示にもすごいのがあるので、乞うご期待。