虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

今さら高尾のミヤマクワガタとアオカナブンとオオムラサキ

 10月も中旬に入ろうというのに、ブログ記事はようやく8月分が終わりそうというていたらく。そんなグズ昆虫記者はだれも相手にしてくれそうにないので、傍若無人にずんずんと話を進めます。

 

 今回は8月後半の高尾周辺です。東京都内に閉じこもっていた今年の夏ですが、やはり高尾(ギリギリ東京です)まで行かないと、容易に見られない虫もいるのです。今年はまだミヤマクワガタを見ていない、アオカナブンを見ていない、オオムラサキも見ていない、となると、どうしても見たくなるものです。やっぱり高尾に行かなくちゃと、居ても立っても居られなくなるのです。

 

 で、やっぱり高尾に来た甲斐がありました。高尾は昆虫記者を裏切らない。ちゃんと、大型のミヤマクワガタがいました。やらせ番組のように、ミヤマがいるっていうのが、さすが高尾です。

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高尾のミヤマクワガタ。大向こうをうならせるカッコ良さ。

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平地の王者がノコギリクワガタならミヤマクワガタは山の王者ですね

 アオカナブンもいました。このエメラルドのような吸い込まれそうな緑色の輝き。昔は皇居外苑にもいて、軽視していた虫なのですが、最近は都心では全く見かけなくなりました。久々に見ると、大粒のエメラルドを目の前にした宝石泥棒のようにドキドキしますね。

 今回はスズメバチに囲まれて絶体絶命の状況だったので、手に取って見ることはできませんでした。憎きスズメバチども。

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大粒のエメラルドのようなアオカナブン

 そしてボロボロながら、オオムラサキもいました。季節的もう最終盤なので、ボロボロなのは仕方ありません。なんか、「やっぱりすごいな高尾」って感じです。

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スミナガシの下にいるのが、ボロボロのオオムラサキ

 オオムラサキと、スミナガシと、アカボシゴマダラの3者のコラボシーンなんて、高尾ならではかも。

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オオムラサキとスミナガシとアカボシゴマダラのコラボ

 残念ながらミヤマカラスアゲハには会えませんでしたが、残念賞のカラスアゲハが慰めてくれました。

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残念賞のカラスアゲハ

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カラスアゲハの開翅。画面からはみ出ているのはカメラマンの腕の悪さを物語る

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林道の水場にはサカハチチョウが多い

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サカハチチョウの羽の表は地味。裏側の方がきれい

 

 今回は日影沢から城山茶屋を目指したのですが、何と、途中で林道の道がなくなって川になっていました。2019年の台風19号の被害からまだ復旧していないようです。

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道が川で寸断されている

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右側の激しい流れの川が本来の道。左の河原を歩くか、中央の護岸の名残の上を歩くしかない

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川のようだが、これも元は道

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あちこちで林道が崩れている

 それでも何とか林道を登り切ったら、そこには、林道通行禁止の掲示が。確かに雨が降ったりしたら、あの道は歩けないでしょう。林道の下の方には通行禁止の表示はなかった気がするので、登りはOKだけど、下りはダメということでしょうか。ともかく登れて良かった。めでたしめでたしです。

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今登ってきた林道は通行禁止だったのかも

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それでも何とか小仏城山の茶屋にたどり着いた

 今回はついでに高尾駅からすぐの初沢山の虫撮りも無理やりアップしてしまいます。いくら何でもそろそろ8月分を終わらせないといけないので。

 

 もう長すぎてうんざりしている人も多いでしょう。と言うか、もう読んでくれている人が誰もいないかも。しかし、そんなことでくじけてはいられません。

 

 初沢山と言えば、まず高尾天神社の天神様にお参りしないといけません。巨大な菅原道真像が睨んでいるので、お参りしないと天罰が下りそうだからです。

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高尾天神社の階段はきつい

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上から睨みつける天神様

 初沢では久々に、ヨツボシハムシを見つけました。どうってことのない小さなハムシですが、よく似ていて食草も同じアトボシハムシの方が圧倒的に多いので、四つの黒い紋があると嬉しくなります。

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久々に見たヨツボシハムシ

 

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こっちはアトボシハムシ。紋の数は三つ、二つのほかゼロのことも

 ここにはアワブキの木が何本かあるので、スミナガシやアオバセセリの幼虫に会える確率も高いです。今回はスミナガシの幼虫がたくさんいました。

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芸術的なスダレをつくるスミナガシ幼虫

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雑なスダレしか作れないスミナガシ幼虫もいる

 

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ハラグロオオテントウ。日本最大級のテントウだがしょせんはテントウ。大した大きさではありません。

 

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コナラのドングリが枝ごと落ちていたら、それはハイイロチョッキリの仕業

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ドングリを詳細にチェックすると帽子の部分に産卵痕がある

 これでやっと8月分終了、と思う。たぶん。でも、まだ残ってたかも。