虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

イラガとイラガセイボウ、どちらが当たりなのか

 虫を飼っているとときどき、どこに置いたのか忘れてしまうことがあります。先日部屋の中を、ちょっと危険そうな蛾が飛び回っていて、妻に怒鳴りつけられました。

 

 額縁にとまった蛾を確認すると、その正体は「イラガ」でした。家の中のどこかに、あの芸術品のような繭を置き忘れていたのです。

f:id:mushikisya:20210627130718j:plain

イラガの繭からは、イラガの代わりにイラガセイボウが出てくることも

f:id:mushikisya:20210627130617j:plain

部屋の中を飛び回っていたイラガ

 そういえば、たしかあのあたりにあったはず。ぼんやりした記憶をたどって探してみると、きれいに蓋のあいた繭がありました。

f:id:mushikisya:20210627130821j:plain

きれいに蓋の空いたイラガの繭。スズメノショウベンタゴとも言いますね。

f:id:mushikisya:20210627131003j:plain

蓋が開く前のイラガの繭

 この蓋の開いた繭のことを「スズメノショウベンタゴ」とか言います。雀が小便するには、ちょっと小さすぎるような気もするし、そもそも雀が小便をするかどうか、定かではありません。

 

 ところで、今年は別のイラガの繭から、イラガセイボウが誕生しました。イラガセイボウは寄生蜂なので、これが出てきたら普通は、残念「飼育失敗」例になるのですが、セイボウはイラガの成虫よりずっときれいなので、セイボウが出てくることを期待して、冬にイラガの繭を探す人もいるくらいです。

f:id:mushikisya:20210627131100j:plain

こちらはちゃんと観察していたイラガの繭から出てきたイラガセイボウ

f:id:mushikisya:20210627131202j:plain

イラガセイボウが出てくると、きれいに蓋が開く感じにはならないことが多いようです。

 こうなると、イラガとイラガセイボウのどちらが「当たり」 なのか、分からなくなりますね。確率で言うと、どちらが出てくるかはほぼ半々という感じです。

 

 イラガは幼虫が美しい(でも強烈な毒虫です)ので、幼虫を育てて、繭から宝石系のイラガセイボウが出てきたら「当たり」と言えるのかも。

f:id:mushikisya:20210627131330j:plain

イラガの幼虫はこんなです。電気虫とも言いますね。

 なにせイラガの成虫は地味。成虫に毒はないと言われていますが、今回羽化直後のイラガに触れた手首の部分は、若干水ぶくれのようになりました。(ムヒアルファEXを塗ったらすぐ直りました。ムヒアルファは必携ですね)。もしかすると、羽化直後は幼虫の毒が少々残っているのかもしれません。つまり、今回のイラガの繭は「外れ」ということですね。