虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

外来ムネアカハラビロカマキリと在来ハラビロカマキリの成虫、卵の簡単(でもない)見分け方ガイド

 中国あたりから入ってきた外来種、ムネアカハラビロカマキリと、在来種のハラビロカマキリは、ちょっと見では違いがよく分かりません。

 虫好きと研究者以外の人々にとっては、どうでもいいことかもしれませんが、先日東京・町田市でムネアカハラビロカマキリの卵(卵鞘)を見つけたので、一昨年同じ場所で確認した成虫とともにご紹介します。

 ムネアカハラビロカマキリは、2010年頃から日本各地で多く見つかるようになったようなので、今ではどこでもかなり普通種になっているのでしょう。

 でも成虫は一見しただけでは在来のハラビロカマキリと区別がつかない(捕まえて前脚の基節とか、胸部とか良く見ないと分からない)ので、2010年よりだいぶ前から、密かに分布を拡大していたのかもしれません。

 成虫の見分けは面倒ですが、卵の見分けはわりと簡単です。卵の前の方(巾が広くなって上部がちょっと突き出している方。カマキリは逆立ち状態で産卵することが多いので、たいていこちらが下になる)が、産み付けられた枝から浮き上がるようになっていたらムネアカハラビロカマキリの卵。前から後ろまでがっちりと枝にくっついていたらハラビロカマキリの卵です。

ムネアカハラビロカマキリの卵鞘

ハラビロカマキリの卵鞘

上がムネアカハラビロ、下がハラビロの卵鞘。並べてみると違いが良く分かります。

 こんな文字上の説明では分かりにくいかもしれませんが、写真を見れば一目瞭然。ムネアカハラビロカマキリの卵を一度見つけたら、ハラビロカマキリの卵と見間違えることはまずないでしょう。

 成虫を見分けるポイントは、絶対確実なのはカマ(前脚)の基節(胸部に一番近い部分)にある黄色い突起の数。ハラビロカマキリでは大きな突起が左右3対なのに対し、ムネアカハラビロカマキリでは小さな突起が9個ほどあります。ムネアカは胸部が赤いのも特徴のようですが、これは個体差がかなりあるようなので、確実な違いは前脚基節の突起のようです。

ムネアカハラビロカマキリの前脚基部には小さな突起が9~10個

ハラビロカマキリの前脚基部の突起は大きいのが3つ。

 興味のある人は、ハラビロカマキリらしいのを見つけたら、とりあえず捕まえて、ムネアカハラビロカマキリでないかどうか、確認してみるのがいいでしょう(そんなことをしても何の得もないし、誰も褒めてくれませんが)。