虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

拙著「昆虫記者」の紹介⑫、奥本大三郎先生とファーブル昆虫館

 「ファーブル昆虫記」の名翻訳で知られる仏文学者の奥本大三郎先生の著書や講演からは、虫とファーブルに対する愛情の深さが感じられますね。大の虫好きであるということだけでなく、虫探しの楽しさ、虫の魅力を、もっとたくさんの人に伝えたいという熱意が伝わってきます。最近放送されたNHKの100分de名著「ファーブル昆虫記」も、そんな奥本先生らしさが伝わってくる番組でした。千駄木の、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」は、奥本先生が自宅を改造して作り上げた昆虫博物館。標本教室など様々なイベントも開かれていて、虫好き少年、少女の隠れ家的存在にもなっています。

拙著「昆虫記者のなるほど探訪」の第1章「ハズレなし、お手軽昆虫名所めぐり」の
記念すべき第1話は、奥本先生とファーブル昆虫館の話。先生がいなければ、時事ドットコムでの昆虫記者の連載が始まることもなかったでしょう。

今回は結びの部分を、ちょっとだけ紹介します。

◎昆虫少年の隠れ家、ファーブル昆虫館

=ファーブルの名が消える?=
……「昆虫研究の後継者がいなくなることが心配。私たちが将来“変なことをやっている年寄り”としか思われなくなったら悲しいことだ。資金的に厳しいが、私の目の黒いうちは館の活動を続けていきたい」という奥本先生の言葉は切実だ。
昆虫記10巻を著した博物学者ジャン・アンリ・ファーブルの名は、母国フランスではあまり知られていないが、日本人にとっては常識の一つ。それは、日本人が、昆虫と深く特別な付き合いをしてきたことの証しでもある。
ファーブル館が、そしてファーブルの名が日本から消える日が来るとしたら、それは奥本先生にとっても、私にとっても、そしてすべての日本人にとっても、本当に悲しいことだと思う。
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