虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

「日本百名虫」は見応えと読み応えの二刀流の貴重な虫の本

 「日本百名虫」を献本していただきました。写真の見応えがあって、読み応えもある虫の本は数少ないですが、「日本百名虫」(坂爪慎吾氏著、文春文庫)はそんな数少ない虫の本の一つだと思います。

 写真の美しさは特筆もの。なにせ有名な昆虫写真家による虫写真がずらり100匹並んでいるのですから。一番多くの写真を提供しているのは、昆虫記者の虫撮り仲間の「森上信夫」氏。写真が素晴らしいのも、なるほどとうなずけます。

献本していただいた「日本百名虫」は2冊セットで読み応えあり。

 カブトムシ、オオムラサキといった定番の甲虫、蝶から、アオマダラタマムシ、サツマニシキといった憧れの超美麗種、オオチャイロハナムグリやオオトラフカミキリのような希少種まで、まさに昆虫各界を代表する100種が集合。

 昆虫研究の歴史から、採集のコツや苦労話、筆者の昆虫への思い入れまで、虫に絡む話題は多岐にわたり、秋の夜長に読みふけるのにもってこいの読み物です。

 昆虫の多様な分類全般にわたって、代表的な種、特徴ある種、美しい種、歴史的な種などが網羅されており、「あっ、この虫捕まえたことある」とか「いつかは絶対に見つけたい」とかいう顔ぶれに出会えるでしょう。

身近な美麗虫アカスジキンカメムシのページ(虫の写真は森上氏撮影のもの)。

憧れの美麗虫、アオマダラタマムシのページ(虫の写真は森上氏撮影のもの)。

 この本をきっかけに、自分なりの名虫100選をつくってみるのも面白いかもしれません。自分のお気に入り100種とか、自分の地域の100種とか、特定のマイフィールドの100種とかがあってもいいでしょう。