いよいよ、怪物バニップ、あるいはミスタースマイリーこと、デービッド博士の登場です。キュランダ・レインフォレスト・アコモデーション・パークの受付で待っていると、博士が自家用車で現れ、窓を開けると、いきなり「ここより私の家の方が虫がたくさんいる。早く車に乗れ」。
こうして虫記者はバニップに拉致され、隠れ家へと連れ去られたのでありました。ほんの10分ほどで到着した博士の家は、森に囲まれた素晴らしい環境。怪物の棲家としても、虫探しの場としても最高です。そして、庭には既にライトトラップが設置されているではありませんか。
本当は地味なクリスマスビートルも、バニップの魔力で宝石のように輝きます。
交尾中の緑色のハムシも、愛と情熱の光彩を放っていました。
そんな虫たちを、樹上からカエルが狙っています。
忘れてましたが、時事ドットコムの「昆虫記者」更新しましたので、よろしかったら、そちらもご訪問下さい。
そしてついに、真打ちのニジイロクワガタが登場しました。トラップの近くの草の茎につかまっていました。養殖ものじゃないです。天然ものですよ。魚と同じで、虫もやっぱり天然ものが最高ですね。それも、オーストラリアの森の獲れたてが一番です。
ニジイロの虹色たる証拠の色彩をはっきりと写真に収めるため、博士の隠れ家である虫専用の離れに持ち込んで撮影しました。
「虫専用」なんて、ホント、羨ましいです。東京のウサギ小屋マンション住まいでは、考えられないことです。虫用の棚を一つ確保したと思ったら、いつのまにか妻の靴やアクセサリーに占領されていたなんてことは、日常茶飯事ですよね。
その後母屋に招待され、博士の奥様の手料理を御馳走になりました。オーストラリアで食べた食事の中でこれが最高でした。と言っても、それまでに食べていたのは、キュランダで唯一の地元民向けスーパー、フードワークスのバナナとか、フライドチキンとか、ソーセージとかばかりだったので、最高では言葉が足りないですね。ともかく、めちゃめちゃにおいしかったです。
これが、ゴキブリを得意分野とする昆虫学者のデービッド・レンツ博士です。怪物バニップではなく、ミスタースマイリーであることが、この写真でよく分かりますね。
デービッド博士の現在作成中の標本です。下の方を見ると、やっぱりゴキブリが多いですね。完成品は研究施設などに送るのだそうです。
本棚は自然系の本ばかりでした。虫記者の本棚とは違って、漫画本とか、怪しい本とかはありません。
しかし、これ以上長居すると、ミスタースマイリーがまた、突然バニップに変身して、宮沢賢治の「注文の多いレストラン」みたいな展開になると恐ろしいので、早々に退散することに。
と言うのはウソで、実はアコモデーション・パークのロッジにもライトトラップを仕掛けてあったので、そちらの成果を早く確認したくて、そわそわしていたのでありました。