東高尾山稜の某所にある御神木。昆虫愛好家が御神木と言う時は、神社の大木ではありません。たいていは、樹液がジュクジュクわき出ていて虫がわんさと集まる木のことです。
そんな御神木で、絵になるのはオオムラサキ。田舎にいくと当たり前のようにいる蝶ですが、ここは東京都内です。都内で、厳しい自然を生き抜いているオオムラサキが見られるなんて、感動ものじゃないですか。
しかし、この御神木には問題があります。かなりの大木で、下枝に視界を遮られる上の方に、樹液レストランが集中しているのです。
下からでは、全く絵になりません。仕方なく、近くの斜面を登って、10メートルぐらい離れた距離から、望遠で撮ります。体力がないので、三脚は持ち歩けず、当然ボケボケになります。最初に載せた一枚は、たまたまオオムラサキが下の方に来た瞬間のいわゆる「奇跡の一枚」です。
しかし、たとえボケボケでも、ここでは、オオムラサキ対クワガタという、ワクワクするドラマシーンも見られます。こんな「ダーウィンが来た」系の生き物新伝説が目の前で展開されるなんて、とても都内とは思えないですね。
一番おいしい樹液は、一番強い虫が独占しています。ここでは、ノコギリクワガタがボスです。
何気ない顔で、ノコギリに近づくオオムラサキ。
こんな近くまで接近。恐いもの知らずのオオムラサキです。
なんと、ノコギリの恐ろしい大あごの間に、口吻を伸ばして、蜜を吸い始めました。
その後、やっぱりノコギリは怒り、オオムラサキは追い払われてしまいました。
勝ち誇るノコギリクワガタ。周囲には子分のようなカナブンたち。
ノコギリに追い払われた、オオムラサキ。うっぷんがたまっているのでしょうか。カナブンを蹴飛ばしているように見えます。