鎌倉の休日の財宝探し
GWの鎌倉はとんでもない混雑と想像する人が多いことでしょう。鶴岡八幡宮に通じる小町通りあたりは、それは、それは、大変なことになっていたと推察されます。
しかし、外国人がドッと押し寄せる寺社やおしゃれな街並みだけが鎌倉の魅力ではないのです。鎌倉は東京近郊でありながら豊かな自然が多く残る場所でもあるのです。そして、その自然はあまり観光客には人気がありません。
大仏ハイキングコースとか、ごく一部の知名度の高い散策路は少し人が多いですが、それ以外にも迷路のように森の中の散策路があるのです。そんなところを歩くのは、犬を散歩させる地元住民か、昆虫記者など、変わった趣味の人々が中心です。
しかし、そんな観光客に見捨てられた自然の中にも、キラリと輝くお宝が隠されているのです。
今回はそんな、キラキラ系のお宝をご紹介します。鎌倉は人が多いから嫌、という人は、もうすぐ閉鎖のヤフーブログの虫撮る人々の過去記事などを参考に、休日でもだれも歩いていない自然豊かな裏道を探索してみてはいかがでしょう。でも誰も歩いていないということは、つまり、虫好き以外には非常に人気のないコースということでもあります。そのへんは、最初から覚悟が必要ですね。
鎌倉の財宝と言えば、まず宝の地図がなければ話になりません。地図上には宝のありかを示す金色のⅩマークがあります。幕府の財宝が隠されている印ですね。でもこの印は、あちこちにあります。とくに桜の木のあるところに集中しています。
そうなのです。お宝とは桜の木のことなのです。何のことはない、つまりは、宝のありかを示すと思われたⅩマークは、サクラの葉を食べるジンガサハムシの仲間の模様なのでした。
セモンジンガサハムシは背中の金色のⅩ文字が売りです。
同じジンガサハムシの仲間で、本家ともいえるその名もずばり「ジンガサハムシ」は、全身金色のがいます。でも全身茶色のもいて、当たりくじ、外れくじみたいな感じですね。
今回のカップルは下の♀が茶色、上に乗っている♂が金色でした。でも葉裏にいたので、せっかくの金色もパッとしない構図になってしまいました。
その金色を必死で撮ろうとしているおかしな人物は、旅に同行していただいた昆虫写真家の森上信夫氏です。大変なお仕事ですね。
売れる昆虫写真を撮る人(森上氏)と、遊びの昆虫写真を撮る人(昆虫記者)は、意気込みも根性も全く違います。
ここは鎌倉の中心部からさほど離れていない場所ですが、小町通りのすさまじい人込みが信じられないほど、静かです。たまに聞こえてくるのは、虫捕りや魚取りをする子供たちの声。観光地のすぐ隣に、ホッとできる静かな自然がある。これが鎌倉の魅力かもしれません。
日本のハムシの中では出色の美しさを誇るアカガネサルハムシもいました。普通はノブドウにいます。ハムシ界のタマムシとでも呼ぶべき、玉虫色のハムシです。
カワトンボがたくさん見られる季節になりました。このトンボも金属光沢が美しい、財宝系の虫ですね。
蛾の中にも、いいのがいました。オオギンスジハマキです。金ほどの値打ちはないですが、銀ですから、まずまずのお宝と言えるでしょう。
何と、蜂にもきれいなのがいました。さすが鎌倉ですね。クロムネアオハバチと言うらしいです。緑色の輝きが見事で、蜂にしておくのは惜しいような蜂です。
きれいどころと言えば、やはり蝶を外すことはできません。まずは普通のナミアゲハ。いわゆるアゲハチョウです。
そこそこきれいですね。そしてキアゲハです。アゲハチョウよりは、深みがありますね。キアゲハを見てからナミアゲハをみると、ナミアゲハはちょっと薄っぺらく見えます。
小さいけれど意外にきれいなのがシジミチョウの仲間。これはツバメシジミの♂です。
メスはこれ。あまりきれいではありません。
蝶は♂の方がきれいという種類が多いですね。蝶よ花よとおだてられ、咲いて見せればすぐ散らされるのは、♂の方です。たいてい♂の方が短命で、交尾を終えると用済みとなります。派手な装いのせいで敵にも狙われやすく、長生きできないというわけです。その分、地味な♀はしぶとく生きながらえて、子孫を残します。人間の♀は「蝶よ花よ」と、ちやほやされた上に、♂より長生きでいいですね。
春だけの蝶、ツマキチョウは、これが最後の生き残りでしょう。
最後の締めはカラスアゲハです。クロアゲハと比べるとはるかに美しいのに、カラスと呼ぶのは、あまりにも不当です。
クジャクとまでは言わずとも、キジぐらいの名前にしてあげたいですね。