ゴミ屋敷化した昆虫写真の整理に取り掛かって気付いたのですが、何と今週のお題は「今年も折り返し」。折り返して、心機一転、人生を出直すためにも、ゴミのようにうずたかく積もった写真をなんとかしなければ。しかし、あせればあせるほど、物事はうまく進まないものです。
そんな人間にとって、整理整頓のお手本のような虫がオトシブミの仲間。卵を産みっぱなしにしないで、きちんと葉っぱの中にしまい込み、まるで秘密の恋文のような、小さくて、きれいに形を整えられた巻物のような、揺りかごを作ります。この揺りかご(落とし文)が、幼虫の餌になるのですから、よく考えられた仕組みですね。
今回は、まず、5月の高尾のルイスアシナガオトシブミです。
ルイスアシナガオトシブミは、ケヤキの葉を巻いて落とし文を作ります。アシナガの名の通り、前足が長いのですが、長さより、腿節(人間的には太ももとか、二の腕とかの感じ)の筋肉的な盛り上がりの方が目立ちます。この肉体美の前足は、特に♂に目立ちます。落とし文を作るには、もってこいの前足のように見えますが、♂は落とし文の作成には全く参加しません。後背から♀を襲ったりして邪魔するだけです。
次はヒゲナガオトシブミ。アブラチャンという木に多い種類です。イタドリでも見かけます。
ヒゲナガオトシブミのメスはあまり特徴がないので、他のオトシブミと区別がつきにくいです。
確実に判別するには、特徴あるオスとの交尾現場を押さえるのがいいですね。現場を押さえられたカップルにとってはいい迷惑ですが。
ヒゲナガというほど、髭(触角)の長さは気になりませんが、♂の首の長さは気になります。この長い首が何の役に立つのか、全く分かりませんが、こういう自己主張の強い姿は好感が持てます。
アカソの仲間の葉を巻くのは、ヒメコブオトシブミです。背中の小さなコブが目印。
同じように背中にコブが有っても、エノキの葉を巻くのは、ヒメゴマダラオトシブミ。ゴマダラと言いながら、背中一面黒っぽいのが多く、黄色と黒のゴマダラ模様になているのは少ないので、遠目にはヒメコブと見間違えそうになります。
別に見間違えたところで、世の中の大勢に影響はないのですが、そういう細かいところにこだわるのが、虫好きの困った側面ですね。よーく見ると、ヒメゴマダラは頭とか、腹の一部が黄色くて、真っ黒なヒメコブとは違いますね。なんてことは、一般社会的にはどうでもいいことです。
害虫駆除の世界では、その虫が何を食べるのかが重要ですが、アカソもエノキもあまり人間の役に立つ植物ではないので、これまた大勢に影響なしです。駆除されなくて、まずは良かった。人間に無視されるということは、虫にとっては良いことのようです。