もうすぐ東京も緊急事態宣言解除に…と期待したいですね。そうでないと、どこにも行けない。虫撮りの一番いい季節は、梅雨入りまでの1、2カ月ですが、もう残り少なくなってしまいました。新型コロナの影響では、亡くなった方、入院中の方、破産に追い込まれた方もいて、虫撮りが自由にできない程度のことは、本当にどうでもいいことですが、それでもやっぱり悲しい。本当に苦境に陥っている方々と比べれば、1億分の1ぐらいでしょうが、それでも器の小さい俗人はやっぱり悲しいのです。
と言うことで、今回は器の小ささを象徴するような、誰にも見向きもされない地味な虫の登場です。名前はいかにも外国風のユーカリハムシは、ユーカリの葉を食べるオーストラリア生まれの虫で、コアラとユーカリとともに、招かれもしないのに日本にやってきました。
オーストラリア産なら、明るく陽気な虫かと思いきや、見た目の地味さ以上に性格も暗くて、幼虫は昼間はユーカリの半分めくれた樹皮の下などに潜んでいて、夜にこっそり葉を食べに出てくるという、夜盗虫のようなやつです。
4月末にユーカリの森で有名なドリーム・アイランド(夢の島のことを昆虫記者はこう呼んでいます)を訪れると、まだ活動中の成虫は少なめでした。と言うことは、まだ越冬モードなのでしょうか。
実は毎年のようにユーカリハムシを見にドリーム・アイランドに出向くのですが、これまで成虫の集団越冬は目にしたことがなかったのです。これはチャンスです。
めくれかけたユーカリの樹皮(ユーカリの樹皮は毎年ぼろぼろとめくれて落ちていくようで、ユーカリハムシが越冬したり、隠れたりする場所には事欠きません)の隙間をちょっと広げてみると「ドッカーン」といました。越冬集団です。かなりお寝坊なハムシのようですね。
小枝の根元の窪みにも、越冬集団らしき小さな集団がいました。
活動を開始しているユーカリハムシも少しいて、交尾に励む姿も見られました。
早くも産卵に入っているものも。
でも本当に産卵しているのか、前からの写真だけでは分かりません。もしかしたらトイレで気張って用を足しているだけかも。
後ろからも確認してみる必要がありますね。
まだ幼虫はいない感じだったので、以前撮った幼虫の姿も紹介しておきます。
しかし、何と地味な連中なのでしょう。大抵の虫は卵、幼虫、蛹、成虫などと姿を変えていく過程のどこかで、華やかだったり、魅力的だったりする局面があるものなのですが、ユーカリハムシは徹底して地味です。まるで、新型コロナで巣ごもりしている私たちのようですね。暗い外出自粛生活を一層暗くするようなお話でした。
でも明けない夜はない、出口のないトンネルはないのです。もうすぐそこに、かすかな光明が見えています。なんて言っていたら、すぐにジメジメの梅雨だったりして。昆虫だけが友達の小人物はやっぱり悲しいです。
ちなみにドリーム・アイランドの駐車場は閉鎖中のようです。緊急事態宣言が解除されるまで、あと少しの辛抱です。