ヨモギハムシは、ハムシとしては珍しく、なぜか晩秋から冬にかけてが恋の季節です。12月ごろまでせっせと交尾に励む姿が見られて、恋に見放されて冷え切った虫好きの心を温めてくれますね。
成虫で冬を越して、春に産卵する個体もいるようですが、関東では基本の越冬態は卵だと思います。11月、12月にお腹パンパンの雌が大量に卵を産むので、越冬した成虫はもうフラフラ状態だと推測されるからです。
卵が孵化するのは、はヨモギの新芽が出るころのようで、暖地では2月、寒冷地では3月ごろかと思われますが、我が家では住宅事情もあって室内で卵を保管していたので、1月にはポツポツと幼虫が出現してきました。
しかし、何でまたヨモギハムシのような超普通種を卵から飼育しようなどと思ったのでしょうか。幼虫は土に潜るタイプではなく、普通に地上でヨモギの葉を食べます。それなら、春先に若いヨモギの草原を探索すれば、山ほど幼虫が見つかるはずですね。
それなのに、これまでヨモギでヨモギハムシの幼虫を見つけたことは一度もないのです。それはなぜでしょう。
その答えは単純でした。ヨモギハムシの幼虫は夜行性なのでした。それを知らずに、昼間に幼虫を探していた昆虫記者が「バカ、バカ、大バカ」なのでした。
幼虫は昼間はヨモギの根本付近でじっとしているらしいです。土色をした超地味で小さい幼虫を、ヨモギの根本で見つけることは、限りなく不可能に近いですね。そんな手間をかけて幼虫を見つけたいと思う人は、限りなくゼロに近いです。
ならばどうするか。答えは簡単ですね。晩秋から冬に卵を確保して、自宅でぬくぬくと冬を過ごしながら、卵の孵化を待てばいいのです。
そして計略通り、今年は楽ちんの極みで、ヨモギハムシ幼虫の生態を観察することができました。ただ室内なので野外より成長ペースが速いようで、本日2月13日に成虫が2匹発生してしまいました。しばらくは温室状態のプラケース内のヨモギで飼育しようと思います。
以前夏に石の下で成虫を見つけたことがあるので、たぶんコガタルリハムシみたいに、初夏には夏眠に入るのでしょう。