虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

カクレミノの木を隠れ蓑にして越冬するタテジマカミキリ

 カクレミノの木を隠れ蓑にして越冬中のタテジマカミキリを、3月初めにようやく見つけることができました。

カクレミノの木を隠れ蓑にして成虫越冬するタテジマカミキリ。

 千葉市の公園のこのカクレミノの木にタテジマカミキリがいることは、すでに突き止めていて、幼虫や夏場の成虫は何度か確認していました。しかし、タテジマカミキリの見どころは、何といっても枝の一部になり切っての越冬姿(異論は受け付けません)。

 タテジマカミキリは、しがみ付きやすい太さのカクレミノの枝に自分の体が半分ほど埋まるぐらいの窪みを掘り、そこにピッタリと体をはめ込むようにして成虫越冬します。

 図鑑やほかの人のブログで見たその越冬姿を網膜に焼き付けて、これまで何度も冬にタテジマカミキリを探したのですが、「節穴の目」を誇る昆虫記者には全く見つかりませんでした。

 なので、今年もあまり期待せずに、いつものカクレミノの木を見まわしていたところ、何とちょうど目の高さの枝にタテジマカミキリらしき姿が。「これでも見つけられないなら、もう昆虫記者なんかやめちまえ!」と言わんがばかリの、まさに目の前の位置。

 それでもなお、目を皿のようにして凝視しないと、カミキリと分からないほどの隠れ身の術。こんな姿勢で越冬するという知識がなかったら、きっと見逃していたことでしょう。

矢印の位置の枝の下側にタテジマカミキリがいます。ちょうど人の目の高さでした。ラッキー。

前出の写真ではほとんど姿が見えないと思うので、ちょっと拡大。

ここまで拡大するとやっと、タテジマカミキリだと分かりますね。

 ついでにカクレミノの木の説明を。カクレミノの名は、昔話の「天狗の隠れ蓑」にも登場する、透明人間になれる魔法の隠れ蓑に、カクレミノの葉の形が似ていることが由来とも言われています。タテジマカミキリが身を隠すための木だから「カクレミノ」というわけではないようです。でも虫好きにとっては「天狗の隠れ蓑=タテジマカミキリの隠れ蓑」ですね。