虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

カレハガの見どころは抹茶ミルク飴のような卵と、枯葉擬態の成虫。幼虫は嫌な毒毛虫。

 今年はカレハガとその黄色版のようなホシカレハを羽化させるという偉業?を成し遂げていたのにブログへのアップを忘れていたようです。

 今更ながらですが、まずはカレハガをご紹介。何と言ってもカレハガの見どころは卵ですね。白地に緑色の渦巻き模様の卵は、抹茶を練り込んだミルク飴のような芸術作品でした。

カレハガの卵はグルグル模様。抹茶を練り込んだミルク飴のように見える。

 ずっと以前からこの卵を見たいと願っていたのですが、5月下旬に千葉市の公園でようやく念願がかないました。背の低い桃の木についていたのを、他の虫を探していた際に偶然見つけました。

 早速持ち帰って桜の葉で飼育することに。ところが、たくさんの卵のうち孵化したのは2つだけ。2匹の幼虫のうち、1匹はすぐに行方不明になり、結局1匹だけにすべての願いを託すことに。

 幼虫は、一般人なら誰もが嫌悪感を抱くような、毛むくじゃらの毒毛虫です。一部の虫好き猛者の中には、「カレハガの幼虫の毒針毛はこけおどしで、ほとんど実害がない」として、触って見せる人もいますが、私はそんな恐ろしいことはしません。

カレハガの幼虫は毛むくじゃらの毒毛虫。

黒い部分にあるという毒針毛には触らないのが無難。

カレハガ幼虫の正面顔。

 そして、このたった1匹の幼虫が、7月下旬に羽化までこぎつけました。毒毛虫をいじめたりせず、愛情を込めて育てたおかげですね。

 この成虫は、まさにカレハガの名にふさわしい、見事な枯葉擬態を披露してくれます。毒毛虫を敬遠せず、皆様も是非飼育してみてください。

カレハガ成虫。翅の周囲のギザギザはまさに枯葉。

翅を広げると全然擬態になっていないカレハガ成虫。

カレハガ成虫は、野外ではこんな感じ。

 卵を見つけるのは難しいですが、冬にサクラなどの幹に張り付いた越冬幼虫を見つけるのは比較的容易だと、ある虫好きの猛者の方が教えてくれたので、獲物が少なくなる冬の虫探しのテーマの一つにしてもいいでしょう。