虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

車内で羽化したキタテハ

 前回はカナムグラを食べるアカタテハを紹介しましたが、「キタテハの幼虫を探しに行ったのに、キタテハを見つけられずに、苦し紛れにアカタテハでごまかしたんじゃないの」と思っている人もいるかもしれません。

 そんな汚名を着せられたままでは、居ても立っても居られないので、同じ草原にいたキタテハを紹介します。キタテハなんて、誰も興味を持たないし、だれも堂々と紹介したりしません。

 でもそんな差別には断固反対します。キタテハだって、立派な蝶です。
 カナムグラの茂みには、必ずと言っていいほど、キタテハの姿があります。トゲだらけのカナムグラとの連想で、キタテハが嫌われている可能性もないとは言えませんね。
イメージ 1

 幼虫もいました。蛹はいい加減なつくりの隠れ家の中にありますが、幼虫はこんな風に、堂々と葉や茎の上を歩いているのをよく見かけます。
イメージ 2

 トゲだらけで毒毛虫のように見えますが、そんな悪者ではありません。手乗りさせても大丈夫です。
イメージ 3

イメージ 4
 トゲだらけのカナムグラにトゲだらけの毛虫。絶対に触りたくないたぐいの生物ですが、じっくり観察すると、なかなかに美しい毛虫です。

 そして、この雑なつくりの隠れ家の中に蛹があります。
イメージ 5

 裏から覗いてみると。
イメージ 6

イメージ 7
 葉を萎れさせるための若干の細工の跡がうかがわれますが、アカタテハの巣と比べると、巣とか、隠れ家とか名乗るのもおこがましいような、相当にいい加減な代物です。もう虎柄の羽の模様がうっすらと見えているので、羽化寸前です。

 持ち帰る途中、車内で羽化してしまいました。
イメージ 8

イメージ 9
   秋型らしいリアス式海岸のような羽ですね。