親戚の病気見舞いで、4月半ばは京都にいました。京都まで来たら、ついでに奈良にも行きたいですよね。奈良と言えば奈良公園。奈良公園と言えば鹿。鹿の糞と言えば、当然ルリセンチコガネですね。
関東のオオセンチコガネは、赤紫色ですが、奈良公園のオオセンチは青緑で、通称ルリセンチコガネと呼ばれているようです。関東者としては、赤紫が一番美しいと言い張りたいところですが、隣の芝生の方がきれいに見えるのは人の常。なんだかんだ言っても、関東者はやっぱりルリセンチに憧れているのです。
なぜに地域によって、こんなに色が違うのか。食べているものが違うのでしょうか。鹿煎餅をたらふく食べた鹿の糞の、高い栄養価が、ルリ色の輝きを産むのでしょうか。
なんて、つべこべ言っていても虫撮りは始まらないので、クンクンと鹿の糞の臭いを頼りに、ルリセンチを探します。
近鉄奈良駅からの大通りを進んで、公園に入ってすぐに、踏みつぶされた死骸を発見。付近に生息場所がある重要な証拠ですね。
明るい芝生の広場にも、鹿の糞は所せましとばらまかれていて、何気なく腰を下ろしたりすると、ズボンやスカートに糞がしっかりとこびり付き、茶色の水玉模様になってしまします。しかし、そんな場所の糞はすぐにカラカラに乾いてしまうので、糞虫の食用にはあまり適さないのでしょう。
やはり食欲をそそるのは、湿った糞の、得も言われぬ香気のようです。死骸発見場所付近の薄暗い茂みに踏み込んでみると、いるわ、いるわ。あっちでごそごそ、こっちで、もそもそ。
糞にかじりついている者もいれば、恋の相手を探している者も。おしなべて、♀は食欲、♂は色欲のようで、食事に夢中になっている♀に、♂がアタックするという光景が、しばしば目撃されました。
◆糞虫の集団見合い
そんな場所では、自然にカップルが誕生するようです。そしてカップルの愛のフェロモンが、また仲間を引き寄せ、集団見合いの場と化すようです。
近くの地面には、ルリセンチが出てきたと思われる穴が幾つも開いていました。ここから羽化してきたのかもしれませんね。
青いのが多いですが、緑色のもいます。
しかし、公園に入った途端に、こんなにゴソゴソといると、ルリセンチのありがた味が薄れてきますね。関東の赤紫のオオセンチが恋しくなってきます。
これが関東でよく見かけるオオセンチコガネです。奈良のルリセンチに対抗して、ルビーセンチとか、高貴な名前を付けてあげたくなりますね。
関東のルビーセンチと奈良のサファイアのようなセンチが結婚したら、どんな美しい宝石糞虫が誕生するのか、気になるところです。