しかし、そんなところはクワガタなんかも多いはずですね。命知らずのカブクワ好きは、スズメバチの恐怖をものともせず、樹液のにおいを嗅ぎまわるのです。
ですが、もう9月ですから、クワガタもシーズンオフ。ということで、ミヤマクワガタの立派な♂は、死骸になってコナラの木の下に転がっていました。
心臓破りの坂道を上り切ったところで、ちょっと視界が開けます。地蔵峰という、峠の小さな広場に到着しました。かわいいお地蔵さんたちが、出迎えてくれます。
おっと。足元の朽木に黒い影。まだ、ミヤマクワガタの♀が生き残っていました。パートナーがとっくに他界した後も、次世代育成のため、最後の力を振り絞って、産卵に精を出しているのでしょう。来年の夏の虫見も期待できそうですね。
地蔵峰はまだ、ハイキングコースのほんの入り口にすぎません。標高もたったの360メートル。
本当にきついのはこの先なのでしょう。しかし、ここであっさりリタイアしてしまうのが、虫記者の虫記者たるゆえんです。頑張る気なんて毛頭ありません。穏やかな表情のお地蔵さんも、「無理はするな」と言っているようですから。