地蔵峰からの帰り道には、虫食い穴だらけのムラサキシキブ。秋に色づく紫色の実が、旅人の心を癒してくれるのでしょうが、虫好きには、葉っぱの上のゴミくずのようなものの方が気になります。
この放射線状の黒いかたまりは一体何者?。
真横から見ると、虫らしきものであることが分かります。イチモンジカメノコハムシの幼虫です。黒い物体は、自らの脱皮殻と糞で作った鎧のようなもので、これを背中に被ることで、敵から身を隠しているつもりらしいのですが、逆に目立つという意見もあります。
ちょっと刺激されると、この鎧を持ち上げて、威嚇姿勢になります。しかし、それによって、隠れてい体を敵にさらすことになってしまうので、全然威嚇になっていないという意見もあります。
持ち上げられた黒い鎧は、よくよく見ると、仏様の光背のようでもあり、厳かな雰囲気もただよっています。
光背の中央に見える茶色の部分は、幼少期からの歴代の脱皮殻を積み重ねたもの。幼虫はトゲトゲの姿なので、脱皮殻もトゲトゲ。そのトゲトゲに糞をなすり付けることで、この奇妙な光背が出来上がるのです。
実に見事な匠の技による光背ですね。こんな後光を放つ仏様のご尊顔を是非拝見したいものです。
その顔はこんなでした。地蔵峰のお地蔵さんと同様に、慈悲深く、かわいらしい顔ですね。
癒されますね、この笑顔。