虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

祝啓蟄、昆虫ぞろぞろ①ベニシジミ幼虫

 冬ごもりしていた虫たちが動き出す啓蟄。虫好きにとっては、待ちに待った日なのですが、国民の祝日ではありません。でも2016年3月5日は土曜日になったので、虫撮りに出かけた人が多かったことと思います。
 当然虫記者もお出かけです。まだ山地では春は遠いだろうということで、近場の埼玉の公園に。

 まずはベニシジミの幼虫。
 ベニシジミの幼虫を探すなら啓蟄までがいいです。啓蟄を過ぎると、ギシギシやスイバが育ち過ぎて、他の虫もたくさん出てきて、探すのが大変になります。
 ギシギシやスイバのロゼット葉は、あの特徴的な食痕を探すのに絶好。葉のあちこちに「すりガラス」のような半透明の窓があったら、近くに幼虫がいるはずです。新鮮な糞の存在も、幼虫が潜む有力な証拠です。
 半透明の幕がなくて、ただの穴ぼこになっているのは古い食痕なので、幼虫はどこかへ移住しているかもしれません。
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  茶色いのは新鮮な糞。その前方の緑の塊りがベニシジミ幼虫。

 幼虫には、緑一色のと、赤い筋を持つものの2種類。どちらかと言うと、緑一色のが多いですね。でも、どちらかと言えば絵になるのは、赤い縁取りがある方。見つけて嬉しいのもこっち。
 「なにせ、名前がベニシジミですから、幼虫も紅色であってほしい」などと思うのは人間の自分勝手です。
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 ギシギシの葉の多くは冬には赤っぽい色になるので、赤い幼虫が赤い葉にいれば、隠ぺい擬態になるのでしょう。でも、緑の葉に赤いのがいることも多いので、本人はあまり擬態の効果を認識していないようです。

 食事の最中と思われる真新しい食痕と赤い幼虫。緑の葉なので、赤い幼虫は擬態になっていません。
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 が、食べ終わってしばらくした食痕は、周囲が赤く縁取られることもあります。こうなると、赤い縁取りの幼虫とそっくりになります。うーん、そこまで計算していたか。やつらの生き残り戦略も奥が深い。などと感心するのも人間の勝手な思い込みにすぎないのでしょう。

 一枚の葉に2匹いることもたまにあります。緑と赤。いいですね。紅白の引出物のようで。
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 ワラジムシのような姿なので、歩きだすまでは、どちらが頭でどちらがお尻か分かりません。
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 手袋に乗せて歩かせてみました。こっちが頭だったんですね。
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