虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

サイヨーク、エラワン、泰緬鉄道の虫旅①

 時事ドットコムの「昆虫記者」でようやく3部作の連載を終えたタイの泰緬鉄道、エラワン、サイヨーク駆け足旅。ドットコムの記事は、旅行中に書き綴った日記を元にしていますが、一応会社の規則、常識に沿っての昆虫記、旅行記なので、内容、分量ともに、検閲および自主規制がかかっているのです。

 ここは個人のブログなので、日記の内容、順序にできるだけ忠実に、連載していこうと思います。これからサイヨーク方面への旅行を計画している方にとって、有益かもしれない(虫好きでない人には、あまり有益でなかかも)の情報も、盛り込んでいくつもりなので、爪の垢ほどでも役に立てば幸いです。

2018年6月17日(日曜)
◆出発、格安航空が似合う男
 泰緬鉄道、エラワン、サイヨークをめぐるという、メニュー満載の今回のタイ旅行。バンコク往復の航空券は、タイ・エアアジアが一番安かった。しかし、騙されてはいけない。もし、機内預け入れ荷物が別料金だったら、結局他の航空会社より高くなってしまうことがあるのだ。20キロまでの荷物が料金に含まれているかどうか、チェックしよう。今回は20キロ荷物付き、手数料、空港使用料込みで往復3万9020円が最安値だった。食事は付いていないので、栄養補助食品、つまりはカロリーメイトなどを準備しておくことにしよう。
 やはり金欠の昆虫記者には、格安航空が似合う。スーツが似合う男とか、ジーンズが似合う男とかいうのは、恰好がいいが、格安とか100均が似合う男はみじめだ。いつの日か、ファーストクラスが似合う男になりたいと思ってきたが、もはやその日が永遠に来ないことは明白である。
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 成田空港のタイ・エアアジア航空機。季節外れということもあって、乗客はほとんどがタイ人だった。こうした格安航空のおかげで、東南アジアからの訪日観光客も増えている。

◆今回の予算と費用
 サイヨークでのホテル代は5泊で税サービス料込み2万6355円。エクスペリアでの予約では、52%割引とか表示されていたが、ほか予約サイトを見ても同じような値段。52%引き前のもともとの値段を取るところなどあるのだろうかと、疑問を抱いてしまう。
 割引っていうのは、不思議な世界だ。正規の値段からの割引ということだろうが、割引以外利用したことのない人にとって、正規、正しい値段とは不当と同じ意味である。
 しかし、なにはともあれ、航空券と合わせて6万5375円。今回も何とか、10万円の予算上限をクリアできそうだ。

◆雨期も恐れるに足らず
 今回は天気予報は直前まで見ないことにした。雨期だから雨は覚悟の上だが、毎日雨ばかりの予報だったら、気分が落ち込む。早くから予報を見ると、気分が落ち込む期間が長くなる恐れがある。でも、天気予報って見たくなるものだ。見たい。でも見ない。
 もし雨ばかりでも、今回の旅行ではメリットもある。サイヨーク、エラワンは滝の名所なのだ。雨が降らなければ、滝はしょぼくれてしまう。迫力ある滝には、雨が必要なのだ。ネット上では「サイヨークへ行くなら乾期は避けるべき」とか「雨期のサイヨークは最高」とか、雨を歓迎するコメントが多い。
 滝の名所なのに、滝が最大の売り物なのに、滝が枯れていたり、申し訳程度にチョロチョロと流れていたりしたら、悲しいではないか。雨ばかりだったら、豪快な滝の写真を撮りにきたのだと思えばいい。諦めがつくではないか。そして、乾期にもう一度訪れるという手もある。
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 サイヨーク・ノイ滝。駅近の観光名所なので、休日は地元の人々の憩いの場、水浴び場、無料プールのようになってしまうそうです。こういう「静かに滝を眺める美女二人」的写真が撮れるのは平日だけ。

 航空便は、朝9時台に成田発で、現地時間午後1時台にドンムアン空港着。時差が2時間あるので、朝出発でも、午後の早い時間に着くのがありがたい。

◆リムジンタクシーなら3500バーツ、列車なら100バーツ
 予約してあったサイヨークのホテル「ホーム・フュ・トイ」までは、空港からはタクシーで3時間半ぐらいかかった。バンコクから200キロぐらいの距離がある。普通のタクシーだと2000バーツぐらいかかる計算。到着ロビーにあるリムジン・タクシー乗り場で値段を聞いてみると、3500バーツだった。
 80キロ以上の距離だと、普通のタクシーでも1キロ当たり10.5バーツの高額料金となっているので、たぶん2000バーツ以上はかかることになる。渋滞とかになると、もっと高くなる。2000キロの遠方だと、普通のタクシーは嫌がるかもしれないし。
 ならば、リムジン・タクシーでもそんなに高くない。ホテルの送迎だと6000バーツも取られるので、3000バーツ台は許容範囲と思って、清水の舞台から飛び降りる覚悟で利用した。車はトヨタカムリ。乗り心地はいい。それに帰りは列車を使う予定なので(行きは時間の関係で列車が利用できない。なにせ1日に2~3便しかないのだ)、その落差の大きさも楽しいかもと思ったのである。
 列車はナムトックからバンコクトンブリー駅まで100バーツしかかからない。距離に関係なく、外国人は100バーツである。途中のクワイ川鉄橋で降りても同じ100バーツだ。
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ドンムアン空港の両替所でもらったペン。何軒も並んだ両替所の中で「無料のペンをプレゼント。レートは他店と同じ」と表示した店があったので、迷わずそこを選んだ。

◆受付のかわいいお嬢さんと国際交流
 ホテルは、タイ西部サイヨーク国立公園の区域にある。チェックインした後、昆虫記者は再びチェックイン・カウンターへ戻ってきた。床に落ちていた瀕死(ひんし)のホタルの写真を撮るためである。
 チェックインの際に足元で何かがチカチカ光っているのに気づいていたのだ。。アリに襲撃されて、裏返しになったホタルが、必死に遭難信号を放っていたのだ。助け起こしてやったが、もはや飛んでいく元気もなかった。そっと、カウンターの上に置いた。このまま寿命を迎えるのだろうが、アリに巣の中に引きずり込まれて、食い殺されるよりは、いい死に方だろう。
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 ついでに、翌日からのプランを相談する名目で、受付のかわいいお嬢さんと言葉を交わす。もちろん、それは主たる目的ではない。あくまでも「ついで」である。だから、意味もなく会話を引き延ばしたりはしない。会話が長くなったのは、プランが複雑だからであって、意味もない会話をしていたわけではない。しかし、もちろん、国際交流の観点からは、たわいない会話も重要であることを付言しておきたい。

 名前を尋ねる。意味のないことではない。スムーズな会話には相手の名前を知っておくことも必要だからだ。ただし、相手がオジサンであったなら、名前を尋ねたりはしないだろう。オジサンとの間では、会話がはずむ必要はないのである。
 クン・チュー・アライ・カ(あなたの名前は何ですか)。この日のために覚えた、つたないタイ語である。何と心地よい言葉の響きであることか。まるで愛の告白シーンのようではないか。ちなみにタイ語で「アイ・ラブ・ユー」は「ボム・ラック・クン」となるらしい。私はラクーン(アライグマ)ですと言っているようで、笑ってしまうが、99.9%使う可能性のない言葉なので、笑って忘れてしまった方がいい。
 ともかく現地語での会話は、片言であっても、大切だ。もちろん、国際親善のためである。ゆっくり、しっかり発音する。彼女の頬がポッと赤らむ。いや、肌が小麦色なので、実際はほとんど分からなかったが、きっと赤らんでいただろう。
 ポム・チュー・メイ・カ(私の名前はメイです=よく聞き取れなかったが、たぶん彼女はこういったと思う)。少なくとも名前がメイさんであることは分かった。ついでに、あくまでもついでに、名前を紙に書いてもらった。これで、無料かつ、心に残る旅の土産が一つできたわけだ。
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 メイさんは素敵なお嬢さんです。親切に相談に乗ってくれます。ホーム・フュ・トイにお泊りの際は、是非声をかけてあげて下さい。

◆プラン確定、到着翌日はエラワンの7段の滝へ
 前置きが長くなったが(無駄な前置きではなく、意味ある前置きであることを強調しておく)、翌日、翌々日のプランは、メイさんらの親切な助言でおよそ確定した。メイさん「ら」となっているのは、途中からちょい悪おやじ風の色男の「マネジャー」が邪魔、ではなくて、おせっかい、でもなくて、助けてくれたからである。なにしろメイさんは若くて経験不足である。ちょっと色男のマネジャーの助けが必要なのだ。仕事の上だから仕方がないが、私生活での色男マネジャーの助けは、断固断ってほしいと思う。清純なメイさんは、こんなマネジャーのセクハラ、パワハラに屈することはないだろう。
 もちろんマネジャーも、色男であるところは気に入らないが、誠実で親切で、実に役立つ男であった。
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 ホテルからの夕暮れの風景。南国の恋が燃え上がりそうなカップル向きのホテルです。


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ホテルの客室は昆虫記者には場違いな感じの豪華さ。ベッドからガラス越しにシャワールームの中が見えるという作りは、これまた熱愛カップル向き。

 こうして、翌日は朝8時からエラワン国立公園の7段の滝を見に行くことになった。翌々日は、泰緬鉄道の旅である。昆虫記者はもともと、逆の順番を考えていたのだが、泰緬鉄道はナムトック駅午前5時20分発の列車に乗る計画のため、「ホテルからの移動手段を今から確保するのは難しいかもしれない」とのメイさんの助言に従ったのである。マネジャーの助言ならともかく、メイさんの助言を無視するなどという、心無いことはできないではないか。

 次回は、タイで一番美しい滝との呼び声も高いエラワンの滝めぐりです。